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再生医療の恩恵
ヒト骨髄幹細胞順化培養液とは

再生医療の恩恵 ヒト骨髄幹細胞順化培養液とは

私たちの体は細胞のかたまりです。諸説ありますが、全身を構成する細胞は200種以上、総数は60兆ともいわれています。細胞の種類は、その成り立ちや機能の違いなどにより様々に分類されますが、ここでは「体細胞」と「幹細胞」にわけて話を進めます。まず、「体細胞」とは、体の組織や臓器を構成する細胞のこと。例えば、皮膚という臓器においては、表皮細胞や線維芽細胞、脂肪細胞などがあります。次に、「幹細胞」とは、多種多様な細胞の“もと”となる細胞のこと。再び皮膚を例にすると、表皮幹細胞や真皮幹細胞、脂肪幹細胞などが存在します。そして、「自分と同じ細胞を作り出す『自己複製能』と、自分とは異なる細胞に分化する『多分化能』を併せ持つ」と定義されます。幹細胞は、全身の細胞のうち、0.1~0.2%しか存在しないといわれています。

細胞などがあります。次に、「幹細胞」とは、多種多様な細胞の“もと”となる細胞のこと。再び皮膚を例にすると、表皮幹細胞や真皮幹細胞、脂肪幹細胞などが存在します。そして、「自分と同じ細胞を作り出す『自己複製能』と、自分とは異なる細胞に分化する『多分化能』を併せ持つ」と定義されます。幹細胞は、全身の細胞のうち、0.1~0.2%しか存在しないといわれています。例えば、ケガをして表皮細胞が失われたとします。すると、体の修復システムが作動し、表皮幹細胞が分裂。一つは自分のコピーになり(自己複製能)、もう一つは表皮細胞へと分化(多分化能)。表皮細胞へ分化した細胞が分裂を繰り返すことで皮膚が修復されますが、幹細胞自身のコピーがキープされていることで、生涯にわたり、止まることなく、表皮細胞を生み出すことができるのです。損傷治癒ばかりでなく、皮膚の生まれ変わりも幹細胞が維持されているからこそ。ここでは、皮膚という臓器を例に、幹細胞とそれが生みだす体細胞について触れましたが、一言で「幹細胞」といっても様々なタイプが存在します。

体性幹細胞による再生医療の実用化ーー数十年前には考えられなかった医学の進歩です。かつて、不老不死のために財産を投げ打ったというクレオパトラや楊貴妃が、こんな未来を知ったら……それを想像すると、現代の私たちは、かつての権力者が夢みた不老不死を手に入れつつあるのかもしれません。とはいえ、再生医療は厳しい法規制の下、限られた医療機関で提供される、非常に高度な医療。真の意味で広く行き渡るには、まだまだ時間が必要です。しかし、再生医療のプロセスから得られた“恩恵”にあずかることは可能です。それが、幹細胞を培養する際に得られる「幹細胞培養液」です。再生医療における細胞培養は、シャーレ上のそれとは、まったく異なります。例えば、脂肪幹細胞を使用する治療では、まず、腹部や臀部の皮下脂肪から脂肪組織を数十グラム採取。脂肪幹細胞を分離したのち、培養液に添加しますが、治療では大量の幹細胞が必要となるため、数週間をかけて数千~数万倍にまで増殖させます。このとき最も重要なのが、「いかに細胞が心地よくいられるか?」すなわち「培養液の質」と「育て方」。別の言い方をすると、培養液そのものや管理が良好でなければ、細胞は増殖しません。このように、培養液とは、再生医療の根幹を成す重要なファクターの一つなのです。iPS細胞をはじめとする再生医療研究で世界をリードする日本には、類い希な細胞培養技術を誇るバイオテクノロジー企業が多数存在しています。

幹細胞培養液は、その豊富な成長因子により、素肌の福音となる。幹細胞にとって「最適な環境」で得られた培養液は、多様な成長因子を含むサイトカインや細胞外タンパク質の宝庫です。これを肌に与えることで、皮膚のターンオーバーすなわち“再生力”へ、ダイナミックかつトータルにはたらきかけることが期待されます。一般的なスキンケア製品は、肌によいとされる成分を選び、複数を配合していきますが、培養液中の成分は「細胞が、お互いのために作り出したもの」。肌の細胞が必要とする“すべて”が含まれているといっていいでしょう。そこには、現代科学では解明しきれないような、微量だが非常に重要な成分も含まれていると考えられます。幹細胞が生み出した成分で、細胞を一つひとつ力づける再生医療から生まれたヒト由来幹細胞培養液には、素肌への“福音”が秘められているのです。

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